創業は明治4年(1871年)
当初は地域のお米や大豆などを扱う雑穀卸業をしており
そののち、取り扱っているお米や大豆で味噌 ・ 醤油を製造、販売するようになりました。
また、周辺には農業を営む方々が多く、
冬仕事が主な醸造業は地域の「冬の職場」としての側面もあったようです。
屋号は「ヤマトウ」ですが、弘前では「加藤の味噌」の方が知られているかもしれません。
一昔前までは、日用品、食料品、塩やたばこなども販売しており
地域の商店のような役割を果たしておりました。
現・代表の加藤元昭で4代目となりますが、
今も変わらず自宅兼店舗兼醸造場で営んでおります。
大きな改修工事もしていないため外観も内観も昔のままで、使い勝手が悪い部分が
多々ありますが、創業当時のこのたたずまいは
弘前市より〝趣のある建物″として登録されました。
当店自慢の津軽味噌は、足かけ3年もの長期間熱成させた色の濃い赤色辛口の米味噌です。寒いこのあたりの地域に合わせ、塩分は他の地域に比べてと少し高めですが、長期熟成のおかげで充分塩慣れし、口当たりが円やかなのが特徴です。
味が濃い、塩分が高そうと思われがちですが濃い色の割には滑らか味わいです。味噌汁にしてみるとほのかな酸味と口に残らない後味で、すっきりとします。味に深みがあるので、料理の隠し味として、また、他の味噌とのブレンドもおすすめです。
津軽味噌は青森県産大豆「おおすず」と
自家製米「つがるロマン」を使用しています。
米麹を室で3日製麹したあと、煮た大豆と塩を混合攪拌し
木桶でゆっくりと足かけ3年熟成させます。
醤油は脱脂加工大豆と小麦を原料に3日、室で製麹したのち、
塩水をを加え、木桶に入れて仕込みます。
人工的に酵母菌は添加しておらず、
木桶や蔵に住みついている酵母菌で深い味わいを醸しだし
約2年の熟成を経て諸味を圧搾し、
風味の良い醤油に仕上がっていきます。
当店には大型工場に設置されているような機械はありません。
木桶、麹蓋(こうじぶた)、麹室(こうじむろ)、醤油舟、蔵など
昔からの道具と設備を修理し、大切に使っています。
味噌も醤油も移動は全てタンクから桶へと全て人力で運んでいます。そして、その道具、蔵の梁や柱、木桶といった至るところに棲んでいるだろうたくさんの微生物たちに発酵と熟成を手伝ってもらっています。
昔ながら製法で苦労は絶えませんが、この製法だからこそ昔ながらのこの味を守り続けてこられました。
当店の味噌醤油は、いわゆる寒仕込みであり、
麹も麹室で1から手作りしています。
津軽の激寒期(年明け~3月あたり)は、麹をつくるのに雑菌が少なくて、安全です。
四季がはっきりしている津軽、そして、冬の厳しい弘前だからこそ作ることのできる、昔ながらの津軽味噌と醤油なのです。
全ての工程を手作業で行うことは、とても手間のかかることですが、その分深い、自然の風味を味わっていただけると思っております。
おかげさまで創業し150年余経ちましたが、わざわざお買い求めくださるお客様がいらっしゃることを
とてもうれしく思います。
これからも津軽の味噌、醤油の味を変わらず伝えていきたいと思っておりますので、
ご愛顧のこと宜しくお願いいたします。